サングラスを評価するとき、まず目に入るのはデザインだ。しかし、その一本がターゲット市場で本当に生き残れるかどうかを左右するのは、見えない層にある。フレーム素材だ。
OEM サングラスのフレームに多く使われる素材は、PC(ポリカーボネート)、TR90(熱可塑性樹脂)、Nylon(ナイロン)の 3 種類だ。重量・柔軟性・耐久性のそれぞれにトレードオフがあり、製品ポジショニングと市場適合性に直接影響する。
Boshown はアイウェア製造に 35 年以上携わってきた。サングラスフレーム素材の OEM 対応は、当社が毎日取り組む意思決定だ。どの素材がどの市場に、どの価格帯で合うのか。ここで一度整理する。
低コスト・高耐衝撃・大量生産対応
スポーツ・安全用途の主力素材。安定した成形と最低コスト。
適した用途:スポーツ / 安全用途 / 大量流通エントリー向け
超軽量・形状記憶弾性・高快適性
曲げても折れず、負荷後も元の形に戻る。長時間使用でも締め付け感が少ない。
適した用途:ミドル〜ハイエンド / ライフスタイル / ハイパフォーマンススポーツ
UV 耐性・温度安定性・高耐候性
3 素材の中で耐候性が最も高く、屋外での持続的な露出に最も信頼性が高い。
適した用途:ハイエンドアウトドア / プロスポーツ旗艦モデル
フレーム素材が OEM 調達における最初の決断である理由
フレーム素材は工場の内部的な技術仕様ではない。コスト構造・返品率・ブランドポジショニングの出発点だ。
同じデザインのフレームでも、素材を変えれば単価・装着感・耐久性はすべて変わる。スポーツ流通向けに設計した一本が素材選びを誤ると、1 シーズンの使用でフレームが緩んで変形する。低価格帯のラインに無理してプレミアム素材を入れれば、コストが小売価格を支えられない。素材選定とは本質的に、ロット全体の市場ポジションに賭けることだ。
当社が最もよく目にするのは、問い合わせの時点でブランドオーナーが素材の話をスキップし、いきなりデザインと価格を聞いてくるパターンだ。サンプルが届いてから重さが違う、弾力が違うと気づき、仕様の見直しと試作のやり直しが発生する。素材を先に固めておけば、デザイン・レンズ・パッケージの選定がそのまま続けられる。
素材が決めるのは装着感だけではない。返品率だ。アウトドアスポーツ流通に投入した一本が 1 シーズンも持たなければ、ブランドへの信頼を取り戻すのは難しい。素材選定はロット全体のポジショニングに賭ける判断であり、後から微調整できる選択肢ではない。
PC(ポリカーボネート)フレーム
PC(Polycarbonate、ポリカーボネート)は、サングラスフレームの中で最も広く使われている素材だ。割れにくく、耐衝撃性に優れ、成形が安定しており、コストも相対的に低い。
これらの特性が揃うことで、PC はスポーツ・安全用途のアイウェアで主力の座を占める。衝撃・落下・接触に対して、PC フレームのパフォーマンスは多くのプラスチック素材を上回る。当社が安全防護カテゴリ向けに出荷するとき、フレームはほぼ常に PC 素材で、ANSI Z87.1 の試験要件に対応している。
PC のトレードオフは表面の硬度だ。他の素材より傷が入りやすいため、フレーム表面には通常コーティング処理を施し、レンズ側もスクラッチ防止コーティングを組み合わせることが多い。
低コスト・高耐衝撃・大量生産対応 — この組み合わせが、PC を大量流通を想定した製品ラインに最適な素材にしている。スポーツ向け・安全用途・価格訴求型のエントリーシリーズを展開するなら、当社が最初に提案するのは PC だ。
PC は「量産型」の素材だ。耐衝撃性とコスト優位を兼ね備え、スポーツ・安全アイウェアの分野ではほぼ対抗馬がない。管理すべき点は表面のスクラッチ対策のみ。広い流通網でアクセスしやすい価格帯を狙う製品ラインなら、PC からスタートするのが最も安定した選択だ。
TR90 フレーム
TR90(熱可塑性樹脂の一種)は超軽量で形状記憶弾性を持つ素材だ。曲げても折れず、負荷がかかった後は元の形に戻る。
この弾性が TR90 の核心的な価値だ。フレームが異なる顔の形状にフィットし、長時間の使用でも締め付け感が少なく、日常的なひねりや圧力に対しても耐性がある。ハイパフォーマンスのスポーツ用途では、激しい動作中でもフレームが変形せず、装着の安定感が高まる。
重量も大きなセールスポイントだ。TR90 は多くのフレーム素材の中で最も軽量な部類に入り、ランニング・サイクリング・トレーニング中の存在感が低い。スポーツアイウェアブランドが求める装着体験そのものだ。
当社が TR90 でフレームを製造する比率は、ライフスタイル系・スポーツ系を問わず高い。特にミドル〜ハイエンドのポジションで装着快適性を訴求するシリーズに多く使われる。プレミアム感またはスポーツパフォーマンスを軸にした製品ラインを展開するなら、TR90 は PC より有力な選択肢だ。
TR90 が戦うのは装着体験の土俵だ。形状記憶弾性と軽量性を兼ね備えた特性は、ミドル〜ハイエンドのスポーツ・ライフスタイル向けフレームでは代えがきかない。価格プレミアムを乗せたい、装着快適性をブランドの訴求軸にしたいなら、TR90 のほうが PC よりそのストーリーを支えられる。
Nylon(ナイロン)フレーム
Nylon(ナイロン)は 3 素材の中で耐候性が最も高い。UV(紫外線)照射・極端な温度変化に耐え、屋外での長時間使用環境でも安定性を保つ。
この耐候性こそが、Nylon が真の長時間アウトドア用途に適する理由だ。高山・海辺・日照量の多い環境では、フレームは装着だけでなく、紫外線と温度差にさらされ続ける。この点で Nylon の信頼性は一般的なプラスチック素材を上回る。
コストは相応にかかる。Nylon は 3 素材の中で最も高価なため、ハイエンドのアウトドアや専門スポーツの製品ラインに用いられることがほとんどで、価格訴求型のエントリー向けにはほとんど採用されない。
当社で Nylon を指定するのは、アウトドア志向のハイエンドポジションを目指すお客様が最も多い。プロ向けアウトドアシリーズを構築し、耐久性をブランドの約束として打ち出したいなら、Nylon は検討に値する素材だ。
Nylon は「耐候性の保険」素材だ。UV 耐性と温度変化への強さが、アウトドアプロフェッショナル向けフレームとしての存在感を支える。ただしコストが高いため、ハイエンドポジションに見合う価格設定ができる場合にのみ採算が合う。耐久性をセールスポイントにするブランドのための素材だ。
使用シーンで素材を選ぶ
素材に絶対的な優劣はない。あるのは、それぞれの市場への適合性だ。3 素材の特性を並べて見れば、選定のロジックはシンプルになる。
| 比較項目 | PC(ポリカーボネート) | TR90(熱可塑性樹脂) | Nylon(ナイロン) |
|---|---|---|---|
| 重量 | 中程度 | 超軽量 | 軽量 |
| 柔軟性 | やや硬め・柔軟性低 | 形状記憶弾性・曲げても折れない | 中程度の柔軟性 |
| 耐衝撃性 | 強 | 強 | 中〜高 |
| 耐候性 | 標準 | 標準 | 強(UV・温度変化に強い) |
| コスト | 低 | 中 | 高 |
| 適した用途 | スポーツ・安全用途・大量流通エントリー向け | ハイパフォーマンススポーツ・日常使用・ミドル〜ハイエンド | ハイエンドアウトドア・専門スポーツ |
素材選定の 3 つの判断基準
- 大量流通・アクセスしやすい価格帯・スポーツまたは安全用途 → PC
- 装着快適性・ミドル〜ハイエンドポジション・スポーツまたはライフスタイル → TR90
- ハイエンドアウトドア・耐久性をブランドの訴求軸にする → Nylon
実務では、多くの製品ラインが複数素材を組み合わせる。当社でよく見るパターンはエントリーに PC、メインラインに TR90、アウトドアフラッグシップに Nylon という構成だ。
素材選定は「最も良い」ものを選ぶ話ではなく、素材を製品グレードに対応させる話だ。エントリーに PC、メインに TR90、アウトドアフラッグシップに Nylon。この構成が製品ライン全体のコスト構造とポジショニングを安定させる。
Boshown のカスタマイズはフレーム素材の選定から始まる。PC・TR90 の素材選択に加え、ロゴ印刷またはレーザー刻印、フレームとレンズのカラー選定、自社ブランドのパッケージデザインまで、OEM / ODM(設計委託製造)として全工程で対応可能だ。素材の方向性が決まれば、製造プロセスの選定もスムーズに続く。自社ブランドの立ち上げ全体を把握したい方は、プライベートブランド立ち上げガイドから読み始めることをお勧めする。